Collapse OS
とちゃき
10/18/2025 (Sat) 23:20
[Preview]
No.160202
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グローバルサプライチェーンが崩壊し、人類が新たにコンピューターを生産できなくなった将来に備えたOS。
作者によると、まず石油が枯渇する。燃料を石油に由来しない発電はエネルギー収支(あるエネルギー出力を得るのに必要なエネルギー入力の比で表される)が悪く、ただでさえ電力が足りない状態で開発することはできない(エネルギーの罠)。結果として電力不足になり、各国は資源を競争的に確保するようになり、グローバルサプライチェーンは崩壊する。こうなるともう新規のコンピューターは生産できなくなる。これがフェーズ1、やがて最後のまともなコンピューターが故障する。その先がフェーズ2となり、本OSの想定する状況だ。
このような計算機崩壊後の世界で最後まで稼働できるのはZ80やAVRマイクロコントローラーといったプロセッサーだ。もっとも、基盤やコンデンサーは故障しているから部品取りしてお手製で作ったコンピューターになるだろう。Collapse OSはスカベンジして手作りしたZ80, 8086, 6809,6502といったプロセッサー上で動作し、AVRマイクロコントローラーをプログラムするためのOSだ。これらのアーキテクチャのアセンブラー、逆アセンブラー、テキストエディター、バイナリエディターを備える他、Forthインタプリターを持っている。
Collapse OSはまずZ80アセンブリで開発され、その後Forth版がCollapse OS上で開発された。Forthの利点は実装の最小セットが小さいことで、Z80, 8KBの環境でもセルフホストができる。崩壊後の計算機は非力なのだ。
Collapse OSの想定する崩壊はちょうどよい崩壊でなくてはだめだ。崩壊がひどすぎると計算機どころではなくなる。崩壊が軽すぎると計算機の生産は停止しない。崩壊がちょうどよかった場合、新規の計算機は製造できなくなり、Collapse OSは拠点ごとに師匠から弟子に伝承される技術になるだろう。
https://collapseos.org/